高血圧を下げる食生活

なぜ高血圧はいけないか


血圧は高くても、本人にはこれといった自覚症状がありません。

しかし、このまま放置しておくと、体の中で徐々に異変が進み、場合によっては、生命にかかわることもあります。

まず、異変が起こるのは、動脈と心臓です。

これらの異変が進むに従って、脳、心臓、腎臓などの主要臓器が障害され、
脳卒中や心筋梗塞などといった生命にかかわる重大な合併症が現れてきます。


心臓は、高い圧力で血液を送り続けるため、ポンプの役割を果たしている筋肉(心筋)が厚くなり、「心肥大」と呼ばれる状態になります。

これが進むと、心臓の収縮。拡張力が弱くなり、「心不全」へと至ります。

高血圧がいけないといわれるのは、こうした合併症を起こす危険があるからです。

高血圧の治療の目的も、合併症の予防のためにほかなりません。


高血圧とは

血圧が高い状態が続くと、血管に過度の負担がかかり、その結果、血管が障害されて動脈硬化が進み、血液の流れが悪くなったり、血栓(血の塊)ができやすくなります。


血圧とは

心臓は、1日に約10万回も収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を絶え間なく送り返しています。

心臓から送り出された血液は、大動脈から細動脈を通り、毛細血管に流れ込んで、
全身の臓器や気管に酸素や栄養を供給したり、老廃物を受け取ります。
その後、血液は静脈に入り、再び心臓へと戻ります。

「血圧」とは、この全身を循環する血液が、血管壁に与える圧力のことです。


動脈の壁にかかる圧力を言い、上腕の動脈で測定された値を、指標にしています。
そしてこの値は、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、太い動脈から細い動脈に、
血液が流れていこうとするときに起こる抵抗(血管抵抗)によって決まります。


血圧には次の二つの値があります。



収縮期血圧(最大血圧)

心臓が収縮すると、流れ込む血液で動脈は拡張し、その中の圧力も高くなります。
このときの血圧を「収縮期血圧」といいます。

血管にかかる圧力が最も高くなることから、一般には「最大血圧」、
「上の血圧」などといわれています。



拡張期血圧(最小血圧


一方、心臓が拡張して全身(大静脈)から心臓に血液が戻ってくるときには、動脈内の血圧が最も低くなります。

このときの血圧を「拡張期血圧」といい、一般には「最小血圧」、「下の血圧」などといわれています。

この二つの血圧は、常に一定ではありません。
1日のうちでも、時間帯によって変動するし、精神的な興奮・緊張があると、一時的にあがることもあります。

また、部屋の寒暖の差や季節的な気温の変化による影響も受けます。
一般的には、加齢とともに徐々に上がります。
つまり、血圧はさまざまな要因で変化するのです。



高血圧とは


血圧は変化しますが、一定の基準値というものがあります。

収縮期と拡張期の血圧を測定して、どちらか一方又は両方がこの基準値よりも高く、その状態が慢性的に続く場合は、「高血圧」と診断されます。

高血圧には、「本態性高血圧」、「二次性高血圧」の2種類があります。

「二次性高血圧」とは、


腎臓や副腎、甲状腺などの病気や、血圧調整に関係するホルモンの異常、神経や血管の異常などが原因となって高血圧が起きているものをいいます。



「本態性高血圧」とは


原因がはっきりしないもので、高血圧の大部分はこのタイプです。

さらに高血圧は、基準値によって「軽傷」「中等症及び重症」、
収縮期血圧だけが高い「収縮期高血圧」などと分類されます。


ただし、血圧がこれらの範囲に入ると、いきなり危険な状態に陥るというわけではありません。BR> 逆に正常血圧の範囲内だからといって、まったく安全というわけでもありません。

なぜなら、血圧は値が一定しないだけに、基準値は治療のための一つの目安であって、絶対的なものではないです。

ただ、やはり血圧は低いよりも高いほうが、危険を伴う可能性は高くなると思います。




血圧を下げる食べ物



食べ物のなかには、血圧の上昇を抑制する成分を含んでいるものがあります。


カリウム

体を構成するすべての細胞には、ナトリウムとカリウムが含まれています。
ナトリウムは細胞の外側に、カリウムは内側に多く含まれており、この比率は細胞膜に備わる「ナトリウム・カリウムポンプ」という仕組みによって、一定に保たれています。


細胞内にナトリウムが増えると、このポンプが細胞内のナトリウムを外に汲み出し、細胞外のカリウムを汲み入れて、両者の比率を一定に保とうとするのです。

ところが、体内にナトリウムが増え過ぎると、このポンプがうまく作動しなくなります。
そのため、ナトリウムはどんどん細胞内に入ってきます。

このとき、水分も一緒に引き込まれるため、細胞は一種の水ぶくれ状態になります。
これが血管の細胞にも起こるので、血管の内腔が狭くなり、血圧が上昇するのです。

しかし、血液中に十分なカリウムがあると、ポンプが細胞内にカリウムを汲み入れて、
ナトリウムを外に出そうと働きます。


つまり、
カリウムを多く摂取すると、細胞内のナトリウムの増加を
ストップさせ、血圧の上昇を抑えることができるわけです。



カリウムには、腎臓からのナトリウム排泄を促す作用や、「血管の拡張、昇圧物質に対する反応を弱める、交感神経の働きを抑える」などの降圧作用もあります。

カリウムはすべての食品に含まれていますが、特に多く含んでいるのは、


果実、牛乳、きのこ、海藻類

などです。




カルシウム


カルシウムには、筋肉を収縮させる作用があり、それが血管も収縮させ、
血圧を上げる原因になります。

逆にいえば、カルシウムを十分に摂取すれば、血液中のカルシウムも増え、カルシウムイオンの遊離が抑制されるので結果的に血圧は下がるというわけです。




<strong>マグネシウム</strong>


マグネシウムには、カルシウムイオンの遊離を抑制する作用のほか、血管の細胞内にカルシウムイオンが流入するのを抑制するという重要な作用があります。

そのため、マグネシウムを多く摂取すると、筋肉の収縮だけでなく、血管の細胞内にカルシウムが増えるのを抑えることができます。
その結果、血管の収縮が抑えられ、血圧が下がります。


マグネシウムには、細胞膜のナトリウム・カリウムポンプの働きを促進する作用や降圧物質の産生促進作用、さらに交感神経の緊張を抑える作用もあります。


マグネシウムは

豆類や海藻類、緑黄色野菜などに多く含まれます。




食物繊維


食物繊維は、便秘や大腸がんだけでなく、高血圧予防にも効果があります。
特に降圧作用が高いのは、

野菜や海藻類などに多く含まれる水溶性の食物繊維です。

食物繊維には、ナトリウムの排泄を促進する作用があります。
食物繊維を多く含む食品には、一般に降圧作用の高いカリウムやマグネシウムもたくさん含まれています。




たんぱく質


たんぱく質は、高血圧の食事療法には欠かせない栄養素です。
血管の弾力性を保ち、老化を防ぐ働きがあります。
そのため、血圧が多少高くなっても血管破れにくくなり、脳卒中の発症を抑えてくれます。

また「交感神経の働きを抑制する、血管の緊張を緩める、ナトリウムの排泄を促す」など、たんぱく質には数多くの降圧作用があります。

たんぱく質に含まれる成分で、特に降圧作用が高いのは、
「タウリン、セリン、メチオニン」などのアミノ酸で、

魚介類に多く含まれています。



高血圧(血圧)を上げる要因は?


本態性高血圧を促進する環境因子には、主に次のようなものがあります。

塩分のとり過ぎ

肥満

運動不足

アルコール

喫煙

ストレス等です。


塩分のとり過ぎ


食塩の成分であるナトリウムには、体液のバランスを調節するという重要な役割があり、私たちの体にはなくてはならない成分です。

しかし、食塩のとり過ぎで体内にナトリウムが増えると、さまざまな問題が生じ、それが原因で血圧が上昇します。

その一つは、体内のナトリウムが増えたことによる「循環血液量の増加」です。
血液中のナトリウムが増えると、血管は水分を取り込んで、塩分濃度を調節しようとするために、血液量が増えて血圧が上がってしまうのです。


第2の問題は、「内因性ジギタリス様物質の増加」です。

ジギタリスとは、強心剤の原料にもなる物質で、このジギタリスと同じような作用をもつ物質が、私たちの体内にも存在することが、最近になってわかりました。

この物質には、余分なナトリウムを体外に排泄する働きを低下させる作用があり、体内にナトリウムがたまる原因をつくるのです。

さらに、ナトリウムが増え過ぎると、交感神経が刺激されて、心拍出量の増加や、血管の緊張が起こるために、血圧が上昇します。




肥満


食事によって糖質を摂取すると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されて、その働きによって、糖は体内でエネルギー源として利用されます。
余分な糖は脂肪として脂肪細胞に蓄えられます。


ところが、肥満の人は、脂肪細胞に蓄えられている脂肪の量が多すぎることから、インスリンを受け付けるシステムの働きが悪くなり、糖を処理するために
大量のインスリンを分泌しなくてはならなくなります。


インスリンには、

余分なナトリウムや水分が排泄されるのを阻止する作用があります。
そのため、インスリンが過剰に分泌されると、体内にナトリウムや水分がたまって、血圧が上がると考えられています。


また、

インスリンには、交感神経を刺激して、血管の緊張を高める作用もあるため、これも血圧の上昇につながります。
特に、皮下脂肪だけでなく、内臓に脂肪がたまっていると、インスリンの働きがより悪くなることがわかっています。


運動不足


運動不足は肥満につながります。
そのため、インスリンの過剰分泌から、体内のナトリウムが増加し、血圧の上昇を招きやすくなります。
毎日歩くだけでもよいので、適度な運動を心がけたいものです。


また、運動することによって、インスリンを受け付けるシステムの働きを活性化させ、糖の代謝をよくすることがわかっています。
糖の代謝がよくなれば、インスリンの分泌も正常化し、血圧の上昇も抑えられます。


アルコール


飲酒は、一時的に血圧を下げるのですが、慢性的なアルコールの過剰摂取は、逆に血圧を高くします。
ビール、日本酒、ウィスキー、ワインなど、お酒の種類に関係なく、アルコールの摂取量が多ければ多いほど、血圧は上がります。


多量の飲酒は肥満につながりますが、肥満は別としても、アルコールと血圧は相関関係にあることがわかっています。

なぜ、アルコールが血圧を上げるのか、そのメカニズムは今のところまだわかっていません。

アルコール依存症になるほどの多量飲酒者は、禁断症状が現れるほど交感神経の働きが亢進されて、血圧が上がりますが、お酒をたくさん飲む人すべてに当てはまる
わけではありません。



喫煙


たばこを吸うと、一時的に心拍数が増加し、収縮期血圧・拡張期血圧がともに上昇し、末梢血管が収縮して、皮膚温の低下などが起こることがわかっています。

しかし、常習的な喫煙が血圧にどのような影響を及ぼすかについては、まだ、一定した見解は得られていません。


しかし、

喫煙者と非喫煙者の血圧を24時間測定したところ、わずかではありますが、確実に喫煙者のほうが日中の血圧が高いという結果が出ています。

このことからも、喫煙が高血圧を促す危険因子の一つであるという可能性はぬぐえません。




ストレス


ストレスも交感神経を刺激して、血圧を上げる要因になります。
これは精神的なストレスばかりでなく、肉体的なストレスも含まれます。

肉体的なストレスには、「動的運動(ウォーキングや水泳など)によるストレス」と、「静的運動(重量挙げ、重い荷物をもつ)」の2つがあります。

動的運動は血圧を下げますが、静的運動は逆に血圧を上げます。

排便時に強くいきんだり、
熱い風呂に入ると
いうことも、静的運動に含まれます。

日ごろの何気ない生活習慣が、高血圧の原因になることもあるのです。


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別冊NHKきょうの健康「生活習慣病の医と食の事典」参照

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